そもそも請求管理代行とは
請求管理代行サービスの利用を検討するにあたって、請求管理代行サービスのメリットやデメリットは整理できていますか。あとあとデメリットを知ることになったのでは遅いかもしれません。以下では、メリットとデメリットとともに、請求管理業務をアウトソースする専門家の選び方と注意点をご案内します。
請求管理代行サービスを利用することで、請求書を得意先に対して発行する(=請求管理)業務をアウトソースできます。企業で請求管理業務を担っているのは、① 営業担当者、② 経理担当者である場合がほとんどであり、① 営業担当者には経営者自らを含む場合もあります。
しかし、請求管理業務は
- 請求の締め
- 請求書の発行
- 請求書の送付
- 入金確認
- 入金リストの消込
など、多くの工程が連続する業務でもあり、① 営業担当者、② 経理担当者ともに、営業という本来の業務や、その他の業務にも対応すべきところ、請求管理業務が負担にならないとは、とてもいえない状況にあるのでは。またとくに、① 営業担当者は経理の深い知識を持っているわけではないことから、意図しないミスの常態化も心配のひとつです。
請求管理代行サービスに期待すべき効果は、社内の工数や負担を大きく減らすことだけでなく、専門家に業務をアウトソースすることで、あってはならないミスを削減し、ミスがミスを呼ぶ悪循環を生まないことです。では具体的に、どのようなメリットやデメリットがあるのか、以下でご案内します。
請求管理代行のメリット
請求管理代行サービスの利用に期待できるメリットは、主に次のとおりです。
- 業務の効率化
- 正確性の向上
① 業務の効率化
請求管理業務をアウトソースすることで、もちろん、この業務に社内で対応する必要はなくなり、業務の負担が軽減され、業務の効率化が期待できます。請求管理業務には、与信審査や督促などの業務も含まれ、アウトソースする範囲によっては、請求管理業務の高度化も期待できます。
請求管理業務を営業担当者が行っている場合であれば、営業担当者は、本来すべき営業に専念することができ、請求管理代行サービスの利用によって、売上アップを狙う体制を整えることができます。また、請求管理業務を経理担当者が行っている場合であれば、経理担当者は、業務の負担が平準化されて落ち着いた環境のもと、他の経理業務に専念できます。
請求管理業務を経理担当者から取ってしまうと、他に何も残らないのでは、とお感じになられる場合もあると考えます。しかし一般的には、経理担当者は、日次・月次・年次で多くの業務を担っています。具体的には、日次では現金出納管理、経費精算、伝票記帳や整理、月次では、従業員の給与計算や社会保険などの計算、月次決算書の作成、予算実績管理、年次では決算整理、年次決算書の作成、税務申告、賞与計算など、その他にも多くの業務があります。そのなかでも、一見すれば簡単に思える業務ながら、逐一状況を確認し、都度対応が欠かせないのが請求管理業務です。請求管理業務をアウトソースすれば、経理担当者の負担を大きく減らすことができ、経営者の限られた時間を適切な判断を下すための情報整理業務などに集中して充てることができます。
② 正確性の向上
請求管理代行サービスを利用することで、ミスの削減が期待できます。アウトソースする先は、当然の如く専門家です。多くの企業から請求管理代行サービスを請ける立場から、効率性とともに正確性の知見とノウハウをもっています。請求管理業務が片手間になりがちな、社内の営業担当者や経理担当者に任せるよりも、このような専門家に業務をアウトソースするほうが、ミスの発生確度は引き下がります。請求ミスは、企業の得意先からの信用を低下させることもあり得ます。また、ミス復旧という生産性がない対応は、社内の疲労や疲弊につながります。このようなリスクを回避する点からも、請求管理代行サービスは有効な手段となり得ます。
請求管理代行のデメリット
請求管理代行サービスにはメリットばかりではなく、デメリットもあります。
① 社内にノウハウが蓄積できない
請求管理代行サービスを利用することで、社内の負担を軽減し、業務を平準化できます。一方で、アウトソースした業務のノウハウが、社内に蓄積されることはありません。
このことは、請求管理業務に限らず、アウトソースする業務のすべてに共通するデメリットです。とはいえ、請求管理業務を社内で行っていた場合、それを担当する従業員が退職し、そこに十分な引継ぎがない場合や、退職した従業員に属人的なノウハウがある場合にも、従業員が退職したあとに、社内に残るノウハウはありません。他方、請求管理業務をアウトソースすればノウハウが社内に蓄積されないものの、それをアウトソースする専門家には、退職というリスクはありません。仮に、社内にノウハウは蓄積されるべき、とお考えであれば、アウトソースする業務の範囲を限定することも有効な対策であるといえます。
② 切り替え時の手間がかかる
請求管理代行サービスの利用にあたり、サービス利用開始時に、一時的な社内の手間や負担が発生する場合があります。これは、請求管理業務に限ったことではなく、社内に何かしらの変化を与え、新しいルールを運用しようとする場合、一時的な手間や負担があり得ます。あってはならないことですが、請求管理代行サービスの利用についての社内周知や調整が十分ではないことを原因に、むしろサービス利用によって社内負担が増加した、などの問題が発生する場合もあり得ます。対策として、社内報や会議の場で、新しいルールが運用されることの周知を徹底する必要があります。
もちろん、このような問題を避けることを目的として、請求管理代行業務をアウトソースする専門家との詳細な事前協議を欠くことができません。
ここまで請求管理代行サービスのデメリットと、それを軽減し回避する対策をご案内しました。請求管理代行サービスにデメリットがあるとはいえ、それを上回るメリットが期待できます。経理担当者が退職するリスクから解放され、業務の効率化や正確性の向上が期待できるならば、請求管理代行サービスの利用に検討の余地があるといえます。
請求管理代行の選び方の注意点
請求管理代行サービスをアウトソースする専門家を選択する場合の注意点をご案内します。
この注意点をひとことにまとめると、貴社の現状にマッチさせることです。
① 貴社の現状を整理・認識する
請求管理業務といっても、与信審査、請求書発行、入金管理、督促、代金回収など、その内容は細かく、性格が異なるいくつもの業務が重なって連続しています。請求管理代行業務をアウトソースする専門家を選択する場合、これらの連続する業務のうち、どの範囲の業務をアウトソースすべきかを明確にする必要があります。社内の工数が多い業務はどの業務なのか、どの業務をアウトソースすれば従業員の負担やコストが軽減され、どの業務をしないことで社内に蓄積すべきノウハウが流出しないのかなど、貴社の現状を整理・認識してから、請求管理代行業務をアウトソースする専門家を選定しましょう。
② サービス内容を詳しく知る
請求管理代行業務をアウトソースする専門家によって、その専門家から提供されるサービスの範囲や料金体系は大きく異なります。例えば、請求管理代行サービスと一括りにする専門家もいれば、入金管理代行や代金回収代行などと、業務レベルを細分化する専門家もいます。また、そのサービスの種類に応じて料金体系も異なります。多くの場合、その専門家のホームページでサービスの内容や料金体系の概要が示されています。しかし、企業の現状は様々であり、①貴社の現状を整理・認識するというプロセスで得た結果をもとに、まずは個別に問い合わせ、その専門家から提供されるサービスの内容と料金体系の具体的な提案を受けることをおすすめします。
判断に後悔がないよう、貴社の現状を整理・認識したうえで、アウトソースすべき業務に対して、個別具体的な提案を受けましょう。
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