給与計算代行の選び方
数多くの給与計算代行サービスが世にあるなかで、どこにアウトソースすることが望ましいのか、ここでは、給与計算業務をアウトソースしようとする先の選び方やポイントをご案内します。
- 提供されるサービスの範囲は十分か
- 料金が貴社の予算に合うか
- そもそも貴社が求めるサービスとは何か
- 正確な業務を行ってくれるか
① 提供されるサービスの範囲は十分か
給与計算業務と一言でいっても、毎月々の給与額面の集計、毎月々の各種控除の計算、賞与の計算や年末調整業務など、一連の業務でありながらも、その内容は細かく分かれています。給与計算代行サービスの利用を検討される場合、まずは貴社の給与計算業務に関して、何が必要であるのか、その優先順位はどうであるのか、を整理しましょう。給与計算代行サービスに何を求め、どの業務をアウトソースしたいのか、を整理することが検討の第一ボタンともいえます。
経理担当者である従業員のご負担は、経営者の認識を超えることもあります。何をアウトソースすべきかの整理にあたり、貴社で工数が多くなっている業務はどの業務なのか、その業務にはどの程度の工数を要しているのかを可視化しましょう。そのうえで、どの業務をアウトソースすることで、何時間の工数が軽減でき(効果)、この軽減に対する料金(費用)はいくらなのか、という費用対効果を検討する手順を踏みます。この手順で得られたアウトソースしようとする給与計算業務の範囲が、アウトソースを検討する先が提供するサービスの範囲とマッチしているのか、過不足などのミスマッチがないか、を十分にすり合わせる必要があります。
② 料金が貴社の予算に合うか
給与計算業務をアウトソースしたあとは、社内の雇用でこれに対応しないことから、過度な残業リスクやその割増負担を含め人件費という固定的負担が大きく軽減される、経理担当者の退職リスクから解放される、その退職リスクから解放されることで人員補充のための採用・教育コストもなくなる、従業員個々の重要な情報を社内で共有するリスクがなくなる、など多くのメリットがあげられます。しかし、アウトソースしようとする先や、アウトソースする業務の範囲を間違えると、これらのメリットが十分に享受できない場合や、なかには却ってコストが割高になってしまう場合もあり得ます。
給与計算代行サービスでは、料金体系の単位が、月単位や従業員数単位、会社規模単位などで整理されることが一般的ですが、それはアウトソースしようとする先によって大きく異なります。あとあと思ったよりも料金が高い、と後悔することのないよう、貴社が求めるアウトソースしたい業務の範囲と、これに対する料金を、毎月発生するもの、都度または臨時的に発生するものに区分した具体的な見積もりや提案を受けたうえで判断しましょう。
③ そもそも貴社が求めるサービスとは何か
給与計算代行サービスを提供する専門家ごとに、そこで提供されるサービスの内容は大きく異なります。給与計算業務のすべてを網羅した一括代行サービスのみを提供する専門家から、必要な業務を必要なだけカスタマイズしてサービスを組み立てる専門家まで、各社サービスには大きな違いがあります。貴社が求めるサービスは何かを整理したうえで、各社が提供するサービスのうち、どれがベストマッチするのか、を検討する必要があります。
とはいえ本来、給与計算業務は一連の業務であることには違いがなく、アウトソースする業務の範囲を細分化しすぎることにも問題があるといえます。また、貴社で気が付かない効率的な業務フローの知見やノウハウをもつ専門家も存在します。何をアウトソースしたいのかよりも、貴社が何に困っているのか、をまずは相談するという進め方もあり得ます。
単なる代行という視点ではなく、「+提案」という視点をもつ専門家を、給与計算業務のアウトソース先として優先的に選択することも有効です。
④ 正確な業務を行ってくれるか
給与計算業務にはスピードと正確性が求められます。給与計算のミスに常態性があれば、間違いだらけの給与明細を受け取る従業員は、会社に対してどのような気持ちになるのでしょうか。
従業員にとって給与は、その従業員本人や家族の生活を支える大切な糧であり、これがあるから、従業員が今日も出勤し、また明日も出勤します。万が一にも、給与計算のミスに留まらず、給与支払遅延があったとすれば、それは労使関係に致命的なダメージを与えます。また、あろうことか意図せず、法令に違反した給与計算に陥っていると、関係官庁から処分を受けることもあり、労使トラブルにもなり得ます。
料金の安さに目がくらんだ結果、スピードや正確性に問題がある給与計算代行サービスを提供する専門家を選ぶことのないように注意しましょう。料金が高いことにも安いことにも理由があります。スピードと正確性が求められる給与計算業務のアウトソースであるがゆえ、少なくとも、専門資格に基づき品質が担保される社会保険労務士や税理士を選択され、料金と比例する時間を効率化できる知見やノウハウをもつ専門家を、この重要な業務のアウトソース先として選定されることをおすすめします。
給与計算代行の料金相場
給与計算代行サービスの料金相場を、次の2つに分けてご案内します。
① 給与計算業務のみをアウトソースする場合
給与計算業務のみをアウトソースする場合、従業員1人あたり1,000円/月から2,000円/月が一般的な相場です。これと同様の計算により、賞与の支給回数や対象人数に応じた料金が加算されることが一般的ではあります。労働時間や残業時間、有給管理をはじめとする勤怠管理までをアウトソースする場合、一般的には、この業務はオプションとなり、月あたりの料金に別途料金が加算されます。
従業員の入職や退職の手続を含め、社会保険手続や労働保険手続をオプションで提供する専門家も存在します。このような手続もアウトソースする場合、無資格者は選択できず、社会保険労務士をアウトソース先として選択する必要があります。給与計算業務をアウトソースする以上、これらの手続も一括してアウトソースできる専門家を選択することが効率的かつ効果的だといえます。部分的かつ臨時的に、特定の業務を社内で対応する非効率を排除することで、結果として効率性や効果が高まります。
給与計算業務とともに、社会保険労務士のみが代行できる手続も一括してアウトソースできれば、給与計算業務をアウトソースする先との契約、これとはまったく別に顧問の社会保険労務士との契約という、別々の契約を並走させずに済みます。これらの業務がワンストップサービスとして提供されれば利便性が高まり、一元的に業務効率化が進むことからコストパフォーマンスも期待しやすくなります。
② 年末調整業務もアウトソースする場合
給与計算業務のみをアウトソースするだけでも、社内の工数や負荷を大きく削減できます。
一方で、経常的に発生する業務よりも、特定の時期に一時的に発生する業務の方が負荷となる場合もあり得ます。とくに、多忙な年始年末に急ぐ対応となる年末調整業務が、給与計算業務に関連する大きな業務負担になることから、年末調整代行を含めた給与計算代行サービスが有効となる場合もあります。
年末調整代行は、従業員50人程度の場合で10万円/年から30万円/年が一般的な相場です。年末調整業務に連続する税務業務として法定調書などへの対応もアウトソースする場合、これがオプションとなり、別料金となることが一般的です。しかしそもそも、年末調整や法定調書への対応といった業務は、税理士業務であって、税理士のみがこの業務を代行できます。となると、給与計算業務が幅広い専門業務の連鎖・連続であることから、社会保険労務士と税理士のいずれの資格者も在籍する専門家グループに、これらの手続を一括してアウトソースすることが、正確性・利便性・効率性、そしてコストパフォーマンスに優位があるともいえそうです。
失敗しないために!注意するべきポイントとは?
ここまで、給与計算代行サービスの選び方のポイントや料金相場をご案内しました。ここからは、給与計算代行サービスの利用を失敗させ、後悔する結果に終わらせないよう、とくに注意すべきポイントをご案内します。
① 価格設定・サービス内容を確認する
諸々の追加契約を結んだところ高くついた、一番安いサービスを選んだところ求めていたサービスが受けられなかったなど、ということならば、残念ながら本末転倒です。Webサイト上では、最低価格やサービス内容の概要のみが示されることが一般的です。月額基本料金やオプション料金を請求され、結局のところ高くついてしまうケースもあり得ます。具体的な見積もりや個別提案を受けるなど、料金体系とサービスの詳細をしっかりと確認しましょう。
② 運営元を確認する
給与計算代行サービスは、サービスの質はともかく、無資格で経験がなくとも提供できるサービスです。しかし、税務、社会保険などの分野は、その取扱いに専門知識や専門資格が不可欠となる業務です。もちろん給与計算業務は大切な業務です。安かろう・悪かろう、も意識し、少なくとも社会保険労務士や税理士が運営元であるのかを確認しましょう。
③ 守秘義務契約を確認する
契約書に示される守秘義務は極めて重要です。給与計算業務では、従業員個々の収入状況や評価だけではなく、扶養家族の人数や続柄、収入などを取り扱います。社会保険労務士や税理士には、法令で守秘義務の定めがあります。一方で、無資格である民間業者などには、守秘義務についての法令がありません。あとあとトラブルにならないよう、少なくとも契約にあたっては、個人情報などの取り扱いや守秘義務の定めを確認しましょう。
給与計算代行サービスは、正しく選べば、業務の平準化や効率化によるコスト削減や、社内不調和を含む労使のリスク回避など、大きなメリットを得ることができるサービスです。貴社の現状や課題を整理したうえで、まずは個別具体的な相談に進まれてはいかがでしょうか。
給与計算代行に強い専門家の選び方
ここまで、給与計算代行サービスの選び方や料金相場、注意すべきポイントをご案内しました。給与計算業務をアウトソースする場合、その業務特性から、貴社の経営にも従業員個々にとっても、重要な情報を社外に持ち出す必要があります。そのため少なくとも、アウトソースする料金が安ければ良い、という短絡的な選択にはなり得ません。重要な情報を取扱うがゆえに、法令で守秘義務の定めがある社会保険労務士や税理士を選択することが望ましいともいえます。
また、年末調整業務を含む給与計算業務という一連の業務を一括してアウトソースしようとすれば、社会保険労務士や税理士という資格者の存在が不可欠です。今回だけちょっと待ってなどの融通が一切効かず、正確な業務を特定の時期に確実に完了すべき給与計算業務をアウトソースする場合、複数のベテラン社会保険労務士や税理士が在籍し、もちろん豊富な実績のあるグループを選択することが望ましいといえそうです。
近時では、DXツール乱立の流れから、数多くの多様な勤怠管理や給与計算ツールが世に生まれています。もちろん、これらのツールには、それぞれに特徴があり、料金体系も異なります。そのため、幅広いツールに知見があり、常に最新情報がアップデートされ、数あるツールの選択肢から、貴社にもっともマッチするツールを提案してくれる専門家を選ぶことも重要であるといえます。
そうなると、給与計算業務をアウトソースすべき専門家の選択は、社会保険労務士や税理士、そしてシステムエンジニアで構成されるグループがベストともいえそうです。あとは、人と人、組織と組織、理念や考え方などの相性が決め手になるのではないでしょうか。既にお付き合いの専門家がいるという場合でも、残念なことに、満足なサービスが受けられない、あまりコミュニケーションが取れていないなどの不満を口にされ、これを原因として、あらたな専門家へのアウトソースを検討されることも少なくありません。選択や判断に迷ったら、最後は「パートナーとして、一緒にビジネスを進めていきたい!」と思える専門家を選択されてはいかがでしょうか。
テントゥーワングループでは、まずはこのような貴社のお困りごとをお聞きし、この解決策を共に考え、具体的にご提案いたします。複数のベテラン社会保険労務士や税理士、そして経理や給与計算を熟知するシステムエンジニアが在籍する当社グループには、もちろん、守秘義務がありますので、ご安心ください。
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