経理担当者が突然退職したときの影響と対策
導入
「経営管理=経理」業務は、経営者が適切な経営判断を行うために、
客観的な数値データや情報を提供する非常に重要な役割を担っています。
しかし、経理担当者が突然退職した場合、業務がストップし、企業経営に大きな支障をきたすリスクがあるのも事実です。
2022年版中小企業白書でも、人材の確保や育成が中小企業における大きな課題として取り上げられ、
特に専門的な知識を持つ人材の不足が経営リスクになり得ると指摘されています。
現実的には、ベテランの経理担当者が病気や親族の介護のために突然退職することもあり、
年齢を理由に退職することも珍しくありません。
本記事では、経理担当者の退職リスクを最小限に抑えるための準備について解説し、
税理士や社会保険労務士その他の専門資格者が多く在籍する
テントゥーワングループが提供する具体的な対策もご紹介します。
経理担当者が突然退職したときの影響とは
経理業務の停止によるリスク
経理業務が突然停止した場合、真っ先に課題となるのが資金繰りや給与の支払いでしょう。
もちろん給与だけではなく、売上や仕入の管理、経費の支払いなどもスムーズに行えなくなり、
経理業務の停止にともなうリスクは尽きません。
給与計算も担当してきた経理担当者から、ある日突然「退職願」が出されたことから、
労働基準法違反ともなりかねず、人材の企業に対する信用を失墜する「給与遅配」を避けるために、
まずは給与計算から、続けて経理代行もお願いしたい、とテントゥーワングループで依頼を受けることも珍しくありません。
経済産業省の調査によると、とくに中小企業では経理業務のリスク管理が不十分であり、
経理業務が担当者一人に依存している場合も多く見受けられます。
経理担当者が不在となると、資金繰りの悪化や支払期日の遅延といったトラブルに発展し、
最悪の場合には法令違反や企業信用の低下を招くリスクが生じます。
他部門やバックオフィスへの負担増加
経理担当者の急な退職によって、バックオフィスや他部門のスタッフが急遽、
経理業務を代行する事態に陥ることがあります。
このような事態では、急な退職をサポートしようとする従業員の負担が急激に高まります。
他部門のスタッフが専門知識のないまま経理業務を代行すると、業務効率の低下やミスも発生しやすくなり、
これが長期化すると企業全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。
最悪の場合、経理担当者の急な退職が引き金となり、他のスタッフの退職を誘発する恐れもあります。
経理業務の重要性とリスクマネジメントの必要性
経理業務には確実なリスクマネジメントが求められ、リスク管理を怠ると、
突然の退職により経理業務が停止する事態に陥り、想定外のコストが発生する可能性すらあります。
そもそも経理担当者も人であり、いずれは退職するものです。
企業にとって不可欠な機能の一つである経理業務を属人化せず、
日頃からリスク対策を講じることで、企業の安定した成長が可能となります。
経理業務が滞らないために必要な準備
業務マニュアルと業務分担の整備
まずは、経理業務の手順書やマニュアルを整備し、業務を可視化することが重要です。
手順書があれば、担当者が不在でも他のスタッフが代行しやすくなります。
また、業務を複数人で分担し、チームで支える体制を構築しておくと、
担当者が急に退職しても業務を継続しやすくなります。
マニュアルが整備されていないと、突発的な対応が遅れ、リスクが増大する可能性があるため、
経理担当者がいるうちにマニュアル整備を進めることが肝要です。
手順書やマニュアルというと重く感じられがちですが、
まずは書き出し、情報を可視化するだけでも、立派なリスク管理です。
例えば、書き出した情報をChatGPTなどのAIで整理したり、
チャットボットにナレッジとして登録することも有効な手段です。
チーム体制の強化と情報共有の促進
経理担当者の不在に備え、チーム体制の強化と情報共有の徹底も重要です。
社内の人材が不足しており、チーム体制を整える余裕がないという課題も多く見受けられますが、
社内の人材だけでなく社外の専門家も含めてチーム体制を整えることが課題解決の一つの手段です。
税理士や社会保険労務士といった専門家と連携することで、
内外のチーム体制を整え、業務の分担とスムーズな引き継ぎを実現できます。
クラウドシステムも活用し、経理情報を一元管理することで、経理担当者が不在でも、
社内の従業員と社外の専門家が必要な情報にいつでもアクセスできる環境を整備することが、
リスク管理には有効です。
突然の退職に備えた緊急対応策の構築
経理担当者が突然退職した場合を想定して、代替要員の確保や外部専門家の活用などを事前に検討しておくと安心です。
しかし、代替要員がいない、全従業員が現在の業務で手一杯、新規の人材採用も思うように進まない、
という状況も珍しくありません。
経理業務の性質上、誰にでも任せられる業務ではないため、税理士や社会保険労務士といった専門家への委託や、
アウトソーシング先との契約を整備しておくことが、リスク軽減策として効果的です。
経理担当者の退職リスクを軽減するための外部リソースの活用
経理アウトソーシングのメリットとデメリット
経理業務のアウトソーシングは、経理担当者の退職リスクを軽減する有効な手段です。
専門家に委託することで、最新の知識と技術をもったプロフェッショナルが業務を行い、安定したサービスが期待できます。
従業員には退職リスクがある一方で、アウトソーシング先にはこのリスクが低いため、安定した体制が実現できます。
ただし、社内にノウハウが蓄積されない、即時対応が難しいなどのデメリットもあります。
しかし、クラウドシステムやビジネスチャットツールを利用すれば、
リアルタイムなデータの一元管理やコミュニケーションが可能となり、こうしたデメリットを軽減することができます。
専門家や税理士への業務委託の有効性
アウトソーシング先を選定する際、税理士や社会保険労務士などの専門資格者が多く在籍する専門機関に依頼することで、
企業には多くのメリットがあります。
専門家の知識や経験を活用することで、法令遵守や最新の法改正に即した対応が可能となります。
経理業務には税務申告手続きや税務調査対応などの専門的な対応が求められるため、
経理業務から専門的な手続きまでをシームレスに委託できる先を選ぶことで、
企業の負担が軽減され、リスク管理体制も強化されます。
クラウド経理システムの導入による業務効率化
テントゥーワングループでは、クラウド型の経理システムを活用したサービスを提供しています。
クラウド経理システムを導入することで、経理データのリアルタイム共有が可能となり、
担当者が不在でも他のスタッフが情報を確認し、業務を継続できる仕組みが整います。
また、クラウド経理システムには自動化機能が備わっているため、作業の効率化が図られ、業務負荷が軽減されます。
経理業務のリスク管理と今後の対策
事前準備の重要性と継続的なリスク管理
経理業務のリスク管理には、有事に備えた事前準備と、定期的な見直しが不可欠です。
業務マニュアルの更新やツールの最新化、
経営環境の変化に応じた緊急対応策の更新といった多面的な対応を重ねることで、
企業のリスクを最小限に抑えることが可能です。
継続的なリスク管理体制が必要であり、もし社内の人材に余裕がなければ、
社内の従業員と社外の専門家とのハイブリッド体制を検討するのも良いでしょう。
経理業務の安定化を図るためのポイント
経理業務の安定化を図るためには、次の3つのポイントが重要です。
1 経理業務の手順書やマニュアルを整備し、業務を可視化する
2 経理担当者の不在に備え、社内外のチーム体制の強化と情報共有を徹底する
3 手順書やマニュアル、共有手段を常にアップデートする
テントゥーワングループでは、業務依頼をいただき次第、
①業務の可視化を進め、クラウドシステムやビジネスチャットツールを用いて、
②必要な情報の共有体制を整え、③情報の更新と共有の効率的な手段を常に追求しています。
経理担当者の退職がピンチとなる前に、ぜひテントゥーワングループへご相談ください。