M&A買主の節税策活用について

目次

経営力向上計画に基づくM&A買主の節税

【70%損金・5年据置型】

制度の概要

経営力向上計画に基づく中小企業事業再編投資損失準備金は、

2027年3月31日までに事業承継等事前調査(実施する予定のデューデリジェンスの内容)に関する事項が記載された

経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、

株式取得によってM&Aを実施する場合に(取得価額10億円以下に限る)、

株式等の取得価額として計上する金額(取得価額、手数料)の70%の金額を準備金として積み立てたときは、

その事業年度において積み立てた金額を損金算入できます(益金算入開始までの据置期間5年)。

つまり要約すると、M&Aで取得した他社の株式は、会計では子会社株式などとして資産計上するものの、

税務ではその取得価額の70%に相当する金額を、クロージング時点の損金とすることができる制度です。

クロージング時点で損金とした70%相当額は、原則として、クロージングから5年の据置期間を経て、

クロージング以降6年目から10年目までの期間で5分割して取り崩し、

よって5年をかけ、クロージング以降6年目から毎年14%相当額を益金とします。

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、人材育成、コスト管理などのマネジメント向上や設備投資など、

自社の経営力を向上するために策定・実施する計画です。経営力向上計画が認定されると、

税制優遇や金融支援などを受けることができます。

手続きの流れ

①経営力向上計画の申請と認定

M&Aの相手方が決まったタイミング(基本合意後など)で、経営力向上の内容に株式取得を含み、

かつ、事業承継等事前調査の内容を記載した経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受けます。

申請時には、事業承継等事前調査チェックシートを作成して添付します。

②M&Aの報告書の発行

認定計画の内容に従って株式取得を実行した後、主務大臣に対して事業承継などを実施したこと、

及び事業承継等事前調査の内容について報告して、確認書の交付を受けます。

③税務申告

税法上の要件を満たす場合には、税務申告で準備金積立額について損金算入ができます。

税務申告に際しては、認定書と確認書(いずれも写し)を添付します。

特別事業再編計画に基づくM&A買主の節税

【90%又は100%損金・10年据置型】

制度の概要

過去5年間にM&Aを実施した中堅・中小企業が、

産業競争力強化法において新設された特別事業再編計画の認定を受けて株式取得によるM&Aを実施した場合で、

認定後1回目のM&Aについては株式取得価額の90%相当額、2回目以降は100%相当額を準備金として積み立てたときは、

その事業年度において積み立てた金額を損金算入できます(益金算入開始までの据置期間10年)。

2回目以降のM&Aを例に要約すると、M&Aで取得した他社の株式は、会計では子会社株式などとして資産計上するものの、

税務ではその取得価額の100%に相当する金額を、クロージング時点の損金とすることができる制度です。

クロージング時点で損金とした100%相当額は、原則として、クロージングから10年の据置期間を経て、

クロージング以降11年目から15年目までの期間で5分割して取り崩し、

よって5年をかけ、クロージング以降11年目から毎年20%相当額を益金とします。

特別事業再編計画とは

成長意欲のある中堅企業・中小企業が、複数の中小企業を子会社化し、

親会社の強みの横展開や経営効率化によって、グループ一体となって成長を遂げる計画です。

この計画が、特別事業再編計画として認定されることで、税制優遇や金融支援などを受けることができます。

特別事業再編計画の要件

①申請者

中堅企業者又は中小企業者(常時使用する従業員2,000人以下の者に限る)。

②過去のM&A実績(事業構造の変更)

過去5年以内に、取得価額1億円以上のM&A(事業構造の変更)を実施していること。

過去のM&Aで、経営力向上計画に基づく中小企業事業再編投資損失準備金を利用していなくともよく、

過去のM&Aは株式譲渡ではなく事業譲渡でも構いません。

③計画期間

5年以内。

④成長要件(事業部単位)

計画の終了年度において、従業員1人当たり付加価値額が9%以上向上、かつ、売上高1.2倍以上増加が見込まれること。

⑤財務の健全性(企業単位)

計画の終了年度において、有利子負債/キャッシュフロー≦10倍以下、かつ、②経常収入>経常支出が見込まれること。

⑥雇用への配慮、賃上げ

・計画に係る事業所における労働組合等と協議により十分な話し合いを行うこと、

かつ、実施に際して雇用の安定等に十分な配慮を行うこと。

・雇用者給与等支給額が年率2.5%以上上昇

⑦前向きな取組

計画の終了年度において次のいずれかの達成が見込まれること。

・新商品、新サービスの開発・生産・提供

新商品等の売上高比率が全社売上高の1%以上となること。

・商品の新生産方式の導入、設備の能率の向上

商品等1単位当たりの製造原価が5%以上削減できること。

・商品の新販売方式の導入、サービスの新提供方式の導入

商品等1単位当たりの販売費が5%以上削減できること。

・新原材料・部品・半製品の使用、原材料・部品・半製品の新購入方式の導入

商品1単位当たりの製造原価が5%以上削減できること。

⑧グループ内連携

特別事業再編を実施する事業者全体の方針の下、

グループ内の経営資源とM&Aにより取得する他の事業者の経営資源を組み合わせて利用すること、

または、生産・販売・人事・会計・労務などに係る経営管理の方法をM&Aにより取得する他の事業者に導入し、

経営効率化を図ることで、成長達成が見込まれること。

手続きの流れ

①事業を所管している省庁への事前相談

申請日から5年以内に、

取得価額1億円以上のM&A(株式取得、株式交付、株式交換、事業又は資産の譲受け、吸収合併、吸収分割)を

1回は実施している必要があります。

これとは別の新しいM&A(特別事業再編計画に基づこうとするM&A)に関する基本合意後に、

事業を所管している省庁へと事前相談します。

②特別事業再編計画の申請と認定、課税の特例の確認

M&Aの基本合意後から最終合意前までに、特別事業再編計画の認定を受ける必要があります。

なお、損金算入する事業年度内にM&Aの最終契約を行う必要があり、

特別事業再編計画の認定時には、課税の特例の確認を同時に受ける必要もあります。

また、デューデリジェンスの時期は、申請後に限ります。

認定後にデューデリジェンス終了、認定後にデューデリジェンス開始のいずれであっても問題はありません。

③M&Aの報告書の発行

認定計画の内容に従って株式取得を実行した後、主務大臣に対して事業承継などを実施したこと、

及び事業承継等事前調査の内容について報告し、確認書の交付を受けます。

④税務申告

税法上の要件を満たす場合には、税務申告で準備金積立額について損金算入ができます。

税務申告に際しては、認定書と確認書(いずれも写し)を添付します。

テントゥーワングループのサービス

シームレスなM&A支援サービス

M&Aの買主におけるリスクには、

未払い残業代を含む簿外債務や保証債務、優秀な人材の離職リスク、優良な取引先の離反リスクなど、

デューデリジェンスや契約条項によってもヘッジしきれない多様なリスクが潜在します。

このようなリスクを和らげることを目的に、

上述の経営力向上計画や特別事業再編計画に基づくM&A買主の節税策は有効であるといえます。

また、事業承継・引継ぎ補助金を併用する余地もあり、「税負担の軽減+補助金の活用」で、

M&Aの投資リスクを軽減することができます。

テントゥーワングループでは、「多角的×複層的」アプローチによるM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。

初期判断コンサルティング(企画概要書(IM)レビュー)から、最終契約コンサルティング、

さらには税制優遇制度や補助金制度の支援に至るまで、成長戦略としてのM&Aをシームレスに支援します。

クラウドシステムによる経理代行サービス

M&Aを契機に、売主のベテラン経理担当者が退職することも珍しくありません。

とくに、売主の親族が経理担当者である場合には、時期はともかく、

ほぼ100%の確率で、売主には従来の経理担当者が不在となります。

そんなときには、テントゥーワングループが提供する経理代行サービスをご活用ください。

クラウドシステムを活用した経理代行で、リアルタイムな情報共有体制を構築します。

とくに、デューデリジェンスの段階からテントゥーワングループが関与している場合には、

少なくとも財務・税務デューデリジェンスを経て、既に買主における経理構造の整理が済んでいることから、

経理代行サービスの導入が極めてスムーズです。

テントゥーワングループでは、M&Aのスタートからゴールまで、さらにはその後も含めて、シームレスに支援します。

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