事業承継について

目次

導入

中小企業庁のデータによると、日本国内の中小企業は全企業数の99.7%を占めており、

地域経済や雇用を支える基盤として重要な役割を果たしています。

しかし、経営者の高齢化と後継者不足により、廃業の危機に直面する企業が増加しています。

そのなかでも、経理業務が属人化しブラックボックス化している場合、

事業承継に対して、大きな障害となり得ます。

本記事では、中小企業の事業承継を円滑に進めるための経理業務改善策に焦点を当て、

テントゥーワングループが提供する具体的な支援内容も詳しく解説します。

中小企業における事業承継の重要性と現状

日本における中小企業の現状と事業承継の急務性

日本の中小企業の多くが、経営者の高齢化という現実に直面しています。

中小企業庁の「2022年版中小企業白書」によれば、経営者の平均年齢は約60歳に達しており、

事業承継が急務であるにも関わらず、後継者未定の企業が約半数に上るとされています。

さらに、事業承継が遅れると廃業が避けられず、地域経済への影響も深刻化します。

円滑な事業承継のための企業の「磨き上げ」

中小企業庁の「経営者のための事業承継マニュアル」にも見られるように、事業承継のためには、

①過度な負債の解消、事業に不必要な資産の処分など経営のスリム化を進めていること

②税金対策に偏らず、金融機関や取引先など第三者からみた企業価値を意識した経営体質の健全化を進めていること

③事業の品質向上、コストダウンなど競争力向上を進めていること

④事業上のトラブル、訴訟問題などの解消を進めていること

⑤業務が効率よく流れるように組織体制の整備を行っていること

などが、企業の「磨き上げ」という視点から、事業承継を実施する準備として重要です。

事業承継における経理業務が抱える課題

事業承継のプロセスでは経理業務の承継も重要な要素です。

経理は経営判断の基盤となる情報を提供する一方で、その業務が属人化していると後継者が財務状況を把握できず、

経営の安定性が損なわれます。

さらに、親族内承継や親族外承継(社内承継)、M&A(第三者承継)といった選択肢のいずれにおいても、

経理業務のブラックボックス化が障害となります。

つまり、円滑な事業承継のための企業の「磨き上げ」のためにも、事業承継における経理業務の課題解決が急務といえます。

経理業務の属人化とブラックボックス化が引き起こすリスク

経理業務の属人化が事業承継に与える影響

経理業務の属人化は、特定の担当者のみが経理業務を担当し、経理業務が特定の担当者に依存している状態を指します。

経理業務が属人化している場合には、

①貸借対照表に不明な資産や負債の残高がある

②損益計算書の収益構造が良く分からないまま、税務申告のためだけに、財務諸表(決算書や試算表)が作成され続けている

③経理業務のフローに、紙主体、手書主体、二重作業が多く見られる

など、進化なく伝統的な手法が繰り返されることで業務効率化が進んでいないなどの課題も多く見られます。

とくに業歴が長い企業であり、経理業務が属人化する期間が長いほど、このような課題が多く見られる傾向にあります。

このような課題が解決されない状態で事業承継が行われると、後継者が財務データを適切に分析できないため、

経営判断が曖昧になり、事業承継後の経営が不安定になる可能性もあります。

経理業務のブラックボックス化とM&Aへの悪影響

事業承継の選択肢をM&Aとする場合、財務状況が不透明だと、

買収側がデューデリジェンス(DD)の手続きを通じて、企業価値を低く見積もる可能性もあります。

最悪の場合、M&Aが破談となり、事業承継そのものが頓挫するリスクもあります。

買収側が実施するDDは、対象となる企業(売主)の財務状況、ビジネスモデル、リスク要因、法的問題などを

詳細に調査・分析するプロセスを指し、財務・税務・法務・労務などの領域に対して行われます。

「経営管理=経理」は、DDの領域である財務・税務・法務・労務などの基盤です。

そのため、経理業務がブラックボックス化しているならば、買収側の判断としては

「分からないものは評価し難い」、「評価しても高く評価できない」との判断も自然といわざるを得ません。

 

経理業務の効率化と属人化やブラックボックス化を解消するための対策

業務マニュアルの整備と可視化の重要性

経理業務の属人化を解消するために、経理業務の手順書やマニュアルを整備することが不可欠です。

具体的には、経理業務のフローや具体的な作業内容を文書化し、特定の担当者以外の従業員が、

経理業務を容易に理解できる形で保存します。

箇条書きであっても、まずは経理業務に関する情報を書き出し、この情報をChatGPTなどのAIで整理したり、

チャットボットにナレッジとして登録するだけでも有効です。

経理業務を可視化によって財務データのブラックボックス化という課題も解決できます。

チーム体制の構築と情報共有の促進

経理業務の分担を進め、チーム体制を整備することも重要です。

社内の人材だけでなく社外の専門家も含めてチーム体制を整えて、

経理業務に関する情報共有を促進することで、経理業務の透明性が向上します。

経理業務の性質上、社外の専門家には、

税理士と社会保険労務士の両者が在籍する専門機関を選択することが望ましいといえます。

社外の専門家という外部リソースも活用することで、社内の限られた人材を効率的に活用することができます。

クラウド経理システム導入による課題解決

クラウド経理システムを活用すると、経理データをリアルタイムで共有でき、

属人化やブラックボックス化という課題解決も期待できます。

また、自動化機能により業務の効率化も図れます。

たとえば、仕訳入力や経費精算の自動化、オンラインでの財務データの共有など、

最新のクラウドツールは事業承継時の情報ギャップを防ぐうえで非常に有効な手段です。

 

外部リソース活用による経理業務の安定化

税理士や社会保険労務士の専門的支援

経理業務を税理士や社会保険労務士など外部専門家に依頼することで、法令遵守や効率的な運営が実現します。

これにより、後継者は経営に専念できる環境を整えることが可能です。

経理業務に含まれる給与計算業務やこれに関連する労務体制は、後継者にとって、頭の痛い悩みとなり得ます。

後継者自らが給与計算業務の実務を担当することがないにしても、

その仕組みや構造は、後継者(経営者)として理解することが望ましいといえます。

これが理解できない場合には、未払い残業など、思わぬ労務リスクが突然顕在化することもあり得ます。

先代経営者(現経営者)と従業員との関係性があるからこそ、

従業員が労働問題を提起することがない場合も少なくありません。

ところが、事業承継によって、先代経営者から後継者へと経営のバトンが渡った時点で、

先代経営者のもとでは潜在的であった労務リスクが、一気に顕在化することも珍しくありません。

このようなリスクを軽減するためにも、事前の税理士や社会保険労務士による専門的支援は重要です。

経理代行サービス利用の具体的なメリットとデメリット

経理代行は、経理業務の属人化やブラックボックス化を解消するとともに、

業務効率化を実現する有効な手段であって、円滑な事業承継のための大きな助けともなります。

一方で、経理代行サービス利用は、社内にノウハウが蓄積されないデメリットもありますが、

クラウドシステムとの併用で克服が可能です。

さらに、クラウド経理システムとともにビジネスチャットツールを利用すれば、

リアルタイムなデータの一元管理やコミュニケーションが可能となり、

こうしたデメリットを軽減することができます。

後継者が、経理代行を依頼する外部専門家と社内の従業員とのビジネスチャットツールに参加することも有効であり、

自社の経理業務の現状を知り、そして学ぶ機会ともなり得ます。

 

テントゥーワングループが提供する包括的支援策

経理代行サービスの活用例と効果

テントゥーワングループは、経理代行サービスを通じて経理業務の可視化や効率化を支援しています。

テントゥーワングループには、税理士や社会保険労務士だけではなく、

中小企業診断士や司法書士、行政書士、不動産鑑定士そしてシステムエンジニアも在籍しています。

事業承継支援に豊富な実績があるテントゥーワングループでは、経理代行サービスだけではなく、

例えば、中小企業診断士による事業承継計画の策定支援サービスも提供しており、

経理代行を通じて事業承継を包括的に支援しています。

テントゥーワングループによるM&A支援の紹介

テントゥーワングループでは2013年からM&A支援サービスを開始しており、

数多くの売主・買主の支援実績があります。

テントゥーワングループでは、M&Aの支援体制も充実しており、

出口戦略としてのM&Aの売主支援、成長戦略としてのM&Aの買主支援にも対応しています。

出口戦略としてのM&Aの売主支援では、経理代行サービスを通じた経理業務の可視化や効率化を支援するほか、

M&A前のプレデューデリジェンス(DD)にも対応します。

プレDDの目的は、M&Aの交渉を具体的に開始する前に、大切な企業が適切に評価される環境を整備することにあります。

成長戦略としてのM&Aの買主支援では、DDへの対応はもちろん、

買主の優遇税制(中小企業事業再編投資損失準備金制度)や補助金(事業承継・引継ぎ補助金)も支援しています。

 

まとめと将来に向けた展望

経理業務の属人化やブラックボックス化を解消することで、

事業承継の障害を取り除き、企業の持続的成長を実現できます。

テントゥーワングループは、経理業務の属人化やブラックボックス化という課題解決から、

事業承継のひとつの選択肢でもあるM&A支援までトータルでサポートします。

中小企業の未来を支えるために、今すぐ行動を開始しましょう。

 

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