建設業の経営者や経理担当者の皆様、日々の業務お疲れ様です。建設業の経理・労務は、一般的な事業とは異なる複雑なルールが多いため、バックオフィス業務が経営を圧迫しかねません。

「経理を外注したいけど、どこまで任せられる?」 「許可や経審の対策もまとめてお願いできる専門家はいないか?」

本コラムでは、このようなお悩みを抱える皆様に向けて、建設業特有の経理・労務の課題から、それらを一括で解決する「経理BPO」の具体的な活用方法まで徹底的に解説します。

【監修:税理士・中小企業診断士 前田 直樹】

目次

 

1. 建設業特有の複雑な経理・労務、その課題とは?

建設業には、本業の傍らで対応するのが難しい、以下のような専門的な課題が常に伴います。

  • 建設業許可取得・更新のハードル: 5年ごとの更新が必須の建設業許可は、厳しい要件を満たし続けなければなりません。特に財務や人員配置の要件は複雑で、許可を維持するだけでも大きな負担となります。
  • 経営事項審査(経審)の評点アップ: 公共工事の入札に参加するための「経審」は、会社の財務状況や技術力、社会性などを多角的に評価されます。決算の内容が直接的に評点に影響するため、専門的な対策が不可欠です。
  • 煩雑な社会保険・労働保険の手続き: 現場で働く従業員や一人親方など、様々な雇用形態が存在する建設業では、社会保険・労働保険の手続きが非常に煩雑になりがちです。また、これらは許可や経審の要件にも含まれるため、適正な加入は経営上の重要な課題です。

2. 建設業許可の基本知識と要件を徹底解説

2-1. 一般建設業許可と特定建設業許可の違い

建設業許可は、下請発注の金額によって「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類に分かれます。

【一般建設業と特定建設業の比較表】

項目 一般建設業 特定建設業(元請向け)
下請契約金額 4,500万円未満(建築一式は7,000万円未満) 4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)
財務安定性 緩やか 厳格
自己資本 500万円以上の自己資金または調達能力 4,000万円以上
流動比率 なし 75%以上
資本金 なし 2,000万円以上
専任技術者 実務経験・2級施工管理技士等 1級施工管理技士など上位資格

2-2. 知事許可と大臣許可の違い

営業所の所在地によって、許可申請先が異なります。

  • 知事許可: 1つの都道府県内だけに営業所がある場合。
  • 国土交通大臣許可: 2つ以上の都道府県に営業所がある場合。

2-3. 建設業許可に必要な要件

建設業許可を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 経営業務を適正に行うに足りる能力を有する者(常勤役員等)の配置
  • 専任技術者の配置
  • 社会保険・労働保険への適正な加入

2-4. 許可の有効期間と更新のポイント

建設業許可は5年間有効です。更新申請は、有効期限の90日前から30日前までに提出する必要があります 。毎期提出が義務付けられている「事業年度終了報告書(決算変更届)」を提出していない場合、更新が認められないことがあるため、注意が必要です 。

3. 許可要件の要:常勤役員等と専任技術者の違い

3-1. 常勤役員等と専任技術者の役割と要件

2020年10月の法改正により、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者(常勤役員等)」の要件が拡張されました。個人1名の「経管」を置くという旧来の考え方ではなく、複数のパターンで認定が可能です 。代表的な認定ルートは以下の通りです。

  • 建設業の役員として5年以上の経験がある者
  • 建設業の準ずる地位(補佐役)として5年以上の経験がある者

3-2. 専任技術者の役割と資格要件

専任技術者は、工事の技術的な内容を適正に管理する専門技術者です。1級・2級施工管理技士などの国家資格者、または一定年数の実務経験が必要です。

【役割と要件の違い】

項目 常勤役員等 専任技術者
役割 会社経営全体を管理・統括する責任者 工事の技術的内容を適正に管理する専門技術者
位置づけ 経営面(経営能力)での許可要件 技術面(施工管理)での許可要件
重視される点 経営能力 技術資格・経験

小規模な企業では、同一人物が両方を兼任することも可能です。

3-3. 常勤役員等・役員処遇の注意点

経営業務を管理する役員は、法人であれば役員(取締役等)が該当します。ここで注意すべきなのは、役員は原則として労災保険の適用対象外となる点です 。現場で作業する役員がいる場合には、労災の特別加入を検討することが不可欠です 。

3-4. 常勤役員等を複数確保すべき理由

たった1人しかいない常勤役員等がいなくなると、建設業許可を維持できなくなるリスクがあります。このような事態を回避するためにも、複数の常勤役員等を確保しておくべきです。

4. 経営事項審査(経審)の仕組みと評点アップの鍵

4-1. 経営事項審査(経審)の基礎知識

経審は、公共工事の入札に参加するための点数評価制度です。直近の決算に基づく「決算変更届(事業年度終了報告書)」の提出が前提条件となります。

4-2. 経審の評価項目とP点の計算式

経審の総合評定値(P点)は、以下の要素から計算されます。

  • 経営規模等評価(X1, X2)
  • 経営状況分析(Y)
  • 技術力(Z)
  • 社会性等(W)

【総合評定値(P点)の計算式】

P=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.20+Z×0.25+W×0.15

4-3. 決算と経審は不可分:Y点を上げるための決算対策

決算と経審は不可分であり、特にY評点は決算の数字に強く基づきます。決算確定手続きと並行して経審の評点シミュレーションをすることが理想です。

【Y評点を構成する8つの指標】

  • 負債抵抗力:純支払利息比率、負債回転期間
  • 収益性/効率性:総資本売上総利益率、売上高経常利益率
  • 財務健全性:自己資本比率、営業キャッシュフロー
  • 絶対的力量:利益剰余金、自己資本額

4-4. 工事進行基準と工事完成基準の選択ポイント

かつては「工事進行基準か完成基準かを自由に選べる」とされていましたが、現在は会計と税務で扱いが異なります。

  • 会計上の扱い:2021年4月以降、収益認識会計基準が適用され、履行義務を一定期間で充足する工事は原則として進行基準で収益を計上します。会計上は選択制ではありません 。非上場の中小企業など、会計監査を受けない会社は、制度的には収益認識基準の強制適用対象ではありません代わりに「中小企業の会計に関する指針」や「中小会計要領」に拠ることができます。これらは収益認識基準の考え方を簡便化して取り入れています。
  • 税務上の扱い:原則は進行基準ですが、中小企業者等の工期2年以内の工事(長期大規模工事に該当しない工事)については、完成基準を選択可能という例外が残っています(長期大規模工事に該当しない場合に完成基準が選べる) 。

したがって、中小企業の決算確定においては、まず会社としての統一的な会計方針をどうするかを決定します。その上で、税務申告を行う段階で、税法の例外が適用できる工事については、税務メリット(課税繰延べ)や経審への影響を個別にシミュレーションし、工事ごとに完成基準を適用するかどうかを判断することが重要となります。

5. 建設業特有の社会保険・労働保険手続きを理解する

5-1. 建設業における社会保険・労働保険の基本要件

建設業は、社会保険(健康保険・厚生年金)および労働保険(労災保険・雇用保険)の加入が必須であり、建設業許可や経審に直結します。2020年10月以降、社会保険への加入は建設業許可の要件として明文化されました 。未加入は、経審のW点(社会性)で減点対象となります 。

【2024年4月からの時間外労働上限規制】 2024年4月1日から、建設業にも時間外労働の上限規制が全面適用されています。

  • 原則:月45時間・年360時間
  • 特別条項付き協定の場合:年720時間以内、複数月平均80時間以内、単月100時間未満

この規制は、社会性等(W点)の評価にも影響するため、適切な労務管理が不可欠です。

5-2. 役員・一人親方向け「労災特別加入」の必要性

本来、労災保険は労働者が対象ですが、一人親方(個人事業主)、中小事業主、現場に入る法人役員労災保険の強制適用対象外です 。これらの人々も補償を受けるためには、

特別加入という制度を利用できます 。特別加入をしていないと、元請のルールや現場ごとの安全衛生協定に基づいて、現場入場を拒否されたり、事故時に補償を受けられなかったりする不備につながることもあります。

5-3. 建設業特有の労務管理制度

建設業には、以下のような独自の制度があります。

【建設業特有の制度一覧】

制度 概要 活用ポイント
有期一括事業(現場労災) 工事現場ごとに労災保険を成立させる制度 元請業者が、下請含めた全員の労災カバーを確実にするために利用
日雇特例被保険者制度(雇用保険) 日雇・短期契約労働者向けに、1日単位で雇用保険料を計算する方式 雇用契約が不定期な建設業で、雇用保険料計算の負担を軽減
メリット制 過去3年間の労災事故率に応じて、労災保険料率が調整 安全管理を徹底することで、労災保険料が最大±40%変動

6. 経理BPOで建設業の課題をワンストップで解決

建設業の経営者は、これらの複雑な経理・労務をすべて自社で抱える必要はありません。経理BPOを活用すれば、煩雑な業務を外部の専門家に一括で任せることが可能です。

6-1. 経理BPOで対応できる業務範囲

経理BPOでは、日常の経理業務だけでなく、建設業特有の以下の専門業務も対応可能です。

  • 建設業許可の新規取得・更新手続き
  • 経営事項審査(経審)の対策と申請代行
  • 建設業特有の社会保険・労働保険手続き

6-2. 経理代行で解決できる具体的な課題

経理BPOは、単なるコスト削減ではなく、経営基盤の強化に繋がります。バックオフィス業務から解放されることで、経営者は営業活動や現場管理といった本業にリソースを集中させることができます。

6-3. 経理BPO導入で失敗しないためのポイント

経理BPOの選定では、建設業の会計・税務に精通し、許可や経審までワンストップで対応できる専門家を選ぶことが重要です。

7. テントゥーワングループの強み:建設業特化の経理BPOサービス

私たちテントゥーワングループは、建設業に特化した税理士事務所・社会保険労務士事務所として、貴社の経営をワンストップでサポートします。

  • 許可取得から更新、決算、税務申告まで一気通貫対応: 建設業の新規許可から更新、決算や税務申告と連動した経審対策まで、一貫してサポートします。
  • 経審対策と評点シミュレーションの実務支援: 貴社の決算状況に基づき、経審の評点シミュレーションを実施し、評点アップのための具体的な改善策を提案します。
  • 社会保険・労働保険手続きのシームレスサポート: 建設業特有の社会保険・労働保険の手続きについても、専門家がシームレスに対応します。

8. まとめ:経理BPOで本業に専念し、建設業の経営基盤を強化する

建設業の経理・労務は、専門性が高く、非常に煩雑な業務です。これらを全て自社で抱え込まず、専門家に任せる「経理BPO」は、本業に集中し、経営を強化するための有効な戦略です。

テントゥーワン経理代行サービスは、40年以上の実績の中で、顧客継続率99%超、税務調査の申告是認63.9%を誇る専門家集団として、経理代行から許可・経審対策、社会保険手続きまで、建設業の経営者が直面するあらゆる課題をワンストップで解決します。

<テントゥーワン経理代行の特徴>

①税理士・社労士・中小企業診断士・IT専門家などで構成する約50名のスタッフがチームで対応

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