経理担当者の退職リスクと対策

目次

実際にあった経理担当者が突然退職した時に起きたこととは?

経理業務の停止!!実例のひとコマにみるリスクの大きさ

経理業務が突然停止した場合、真っ先に課題となるのが給与の支払いでしょう。

もちろん給与だけではなく、売上や仕入の管理、経費の支払いなどもスムーズに行えなくなり、

経理業務の停止にともなうリスクは数え上げれば切りがありません。

「退職届」は「退職願」と違い、企業に対して「退職すること」を正式に通知する書類であり、企業の承認は不要です。

「退職希望日の2か月前までに退職願を提出すること」など、退職による業務混乱を防止する目的から、

就業規則で退職の事前予告を定めその期間には余裕を持たせる場合も少なくありません。

ところが極論すれば、退職しようとする従業員は、

民法の定めにより就業規則を無視して、2週間前に退職届を提出して企業を去ることもできます。

ここに有給消化が加わると、実質的には業務の引継ぎがされず、業務が混乱するリスクが高まります。

また、「給与遅配」は、労働基準法違反ともなりかねず、人材の企業に対する信用を失墜しかねません。

卸売業を営むある中小企業では、給与計算業務も担当してきた経理担当者から、突然「退職届」が出され、

退職日までは有給消化により、ほとんど出社しないという事態に陥っていました。

そもそも、給与計算業務には多くの個人情報が含まれ、社内の誰にでも任せられる性格の業務ではありません。

この事態に慌てた経営者は、今月の「給与遅配」を回避するため、

前月の給与計算結果をもとに、今月の給与計算を見よう見まねで実施。

給与支給対象者は約20名。

もちろん給与計算業務は、見よう見まねで正確に行える業務とはいえません。

このような事態に陥った経営者から、テントゥーワングループに相談が寄せられ、

給与計算代行サービスの提供を開始しました。

テントゥーワングループでは、

①突然退職した経理担当者が行っていた給与計算業務の分析と整理

②経営者が見よう見まねで対応した給与計算の修正

③その翌月からの適切な給計算代行サービスの提供

という手順で対応しました。

突然退職した経理担当者が行っていた給与計算業務にも多くの誤りがあり、

のちのち、このような誤りがストレスになって経理担当者が突然退職した事実も明らかになりました。

他にもミスやリスクがないのかを精査する目的から、テントゥーワングループでは記帳業務も精査。

残念ながら、記帳業務にも多くのミスが確認され、

現在ではテントゥーワングループで給与計算代行と記帳代行を並走して支援しています。

経済産業省の調査にもあるとおり、人的リソースが限られる中小企業では、

経理業務のリスク管理が不十分とならざるを得ません。

特定の社内担当者に経理業務を依存すると、経理業務が属人化・ブラックボックス化、その担当者が突然退職すると、

たちまち、「給与遅配」をはじめ、資金繰りの悪化や支払期日の遅延といったトラブルに発展、

最悪の場合には法令違反や企業信用の低下を招くリスクが顕在化することもあり得ます。

二次的問題にもつながる虞…リスクマネジメントの重要性

特定の経理担当者が突然退職することで発生する問題。

この問題を一次的な問題とすれば、二次的問題が発生するリスクにも注意が必要です。

特定の経理担当者が退職したあと、経理業務を社内で対応し続けるとすれば、

在籍する他の従業員なのか、新たに採用する従業員なのかに、経理業務を引継ぐ必要があります。

一方で、突然退職した経理担当者の業務が属人的でありブラックボックス化しているとすれば、

このような暗闇ともいえる業務を引継ぐ従業員の負担が軽いとはいえません。

既に退職した経理担当者が不在の状況下、その属人的なブラックボックス業務の引継ぎでは、

とにかく「探す」ことに多くの時間をとられます。

このような負担が過度になると、経理業務を引継ごうとする他の従業員や、

新たに採用した従業員にも、退職のリスクが高まります。

複数の飲食店舗を営むある中小企業では、20年近いキャリアのベテラン経理担当者に突然の退職がありました。

その後、人材紹介会社を通じて経理担当者を採用するものの、

暗闇ともいえる業務に対して強いストレスを感じ、僅か数か月で退職。

さらにその後も、経理担当者の採用を続けるものの、二人目、三人目ともに短期退職を繰り返す始末。

暗闇ともいえる業務の闇は、ますます深まるばかりでした。

このような事態に陥ることのないよう、

第一義的には経理業務の属人化やブラックボックス化を回避するための対策を常態的に講じる必要があるといえます。

他方、そもそも潤沢な人的リソースが「あるわけではない」を前提にすれば、

経理業務を社内で対応し続けるのではなく、外部専門家にアウトソーシングするという選択肢も有効です。

外部専門家には、退職リスクがなく、欠員補充のための採用・教育コストもありません。

さらに外部専門家の業務の進め方によっては、経理業務の属人化やブラックボックス化のリスクも軽減されます。

経理業務の属人化やブラックボックス化を回避するための対策

経理業務の可視化が第一歩!AIやチャットボットの検討も

業務の属人化やブラックボックス化を回避するための第一ボタンは、

当然の如く、経理業務の手順書やマニュアルの整備、経理業務を可視化する手続きです。

手順書があれば、経理担当者が不在となっても、他のスタッフがこれを代行しやすくなります。

また、多少なりとも人的リソースが許すならば、経理業務を複数人で分担、

チームで経理業務を支える体制を構築しておくことも有効です。

チーム内で担当業務を定期的・計画的に組み替え、仕組みとして経理業務の属人化を防止することは極めて有効です。

そもそも、手順書やマニュアルを整備するために人的リソースを割くことができない場合もあります。

とはいえ、形式を問わず、部分的であったとしても、簡単でも良いのでまずは既存業務を書き出し、

情報を可視化しておくことが、リスク対策の第一歩になるといえます。

記録や可視化を日常のルーティンに組み込み、書き出した情報をAIで整理することや、

これらをチャットボットにナレッジとして登録することも有効な手段であるといえます。

社内リソースの不足にこそ、社外リソースの活用が有効!

経理担当者の欠勤や休職などの一時的な不在や、突然の退職という有事に備えて、

特定の個人に依存する経理業務ではなく、チームによる経理業務の体制を整えることが重要です。

とはいえ、社内の人材が不足しており、チーム体制を整える余裕がない場合なども、

とくに中小企業では多く見られる課題です。

このような場合にこそ、社外リソースを活用する打ち手が有効です。

つまり、社内の人材だけではなく、外部専門家を交えてチーム体制を整えることが有効です。

より具体的には、自社の経理業務について、特定の社内人材と、社外の税理士や社会保険労務士という専門家が連携して、

社内外融合のチーム体制で経理業務にあたる方法です。

例えば、社内外融合のチーム体制のもとクラウドシステムを活用すれば、経理情報の一元管理ができます。

これにより、社内の経理担当者が不在となっても、

リアルタイムで経理業務に関する情報を共有する外部専門家にバックアップ機能が期待できます。

このとき、万一、特定の社内人材に一時的な不在や有事があった場合、

経理業務が中断しないよう、どのように対応すべきかというリスク対応ルールを、

事前に外部専門家と議論しておくと、より効果的です。

このような事前の議論とルール化は、BCP(事業継続計画)のひとつであるともいえます。

BCPは、自然災害や感染症の流行、サイバー攻撃などの緊急事態が起きた際に、

被害を最小限に抑え、速やかに事業の回復を図るための計画のことです。

ここで重要なことは、完全な計画を策定することではなく、ひとつでも多くの「もしも」を想定し、

「もしも」に対する「そのときは」を可視化して共有することであるといえます。

経理担当者の退職リスクを軽減するための外部リソースの活用

経理アウトソーシングのメリットとデメリットを比較

経理代行サービスは、経理担当者の退職リスクなど「もしも」に対する「そのときは」を考える手段であるといえます。

その最大の理由は、外部専門家には、少なくとも、退職リスクがないことです。

もちろん、専門家の選定に誤りがなければ、経理業務を専門家にアウトソーシングすることで、

最新かつ専門の知見や技術を背景に、安定したサービスも期待できます。

一方、経理業務をアウトソーシングすると、その範囲によっては社内にノウハウが蓄積されないデメリットもあります。

また、社内ではなく社外のリソースであることから、リアルタイムな対応ができないという懸念もあります。

とはいえ、クラウドシステムやビジネスチャットツールを利用すれば、

リアルタイムなデータの一元管理やコミュニケーションが可能となり、こうしたデメリットや懸念を軽減できます。

社外の専門家として選定することが望ましい国家資格者

経理代行サービスをアウトソーシングする場合の外部専門家として、

税理士や社会保険労務士などの国家資格者が複数在籍する専門家を選択することが望ましいといえます。

経理業務と、税務申告や社会保険手続きとは不可分であり、

これらの業務には、税理士や社会保険労務士の独占業務が多く含まれます。

そのため、税理士だけではなく、また社会保険労務士だけでもなく、

両方の国家資格者が在籍する専門家を選択することが、

シームレスな経理業務のアウトソーシングにとって有効であるといえます。

もちろん、「もしも」は外部専門家においてもあり得ます。

このことからも、複数の国家資格者が在籍する専門家を選択することが望ましいといえます。

テントゥーワングループの経理代行サービスで「もしも」に備える

テントゥーワングループでは、税理士法人を母体として、

中小企業診断士、社会保険労務士など多彩な専門家が複数在籍しています。

また、クラウド型経理システムを活用した経理代行サービスにより、

中小企業の経理業務効率化をトータルサポートしています。

経理業務の「もしも」に備え、ワンストップかつシームレスな中小企業の経営支援を期待されるならば、

ぜひテントゥーワングループにご相談ください。

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